テーマ1 近現代の水戸の洋画界
今回の展示では、当館所蔵品のなかから、明治・大正期に生まれ、戦前・戦後を通じて活躍した画家の作品を、洋画を中心にご紹介します。
水戸では、大正末期から昭和初期にかけて、本県初の本格的な美術団体・「白牙会」の展覧会をはじめ、常総洋画展、茨城洋画展、茨城美術展などの公募展が行われました。
さらに、戦前は昭和23年(1948)から茨城県美術展覧会が水戸で開催され、水戸を含む県内各地の作家の作品が集う機会ができ、水戸の美術界は長く盛り上がりを見せてきました。
今回の展示では、水戸を拠点に活躍した作家を中心に、東京美術学校を卒業後、中央画壇で活躍した画家・辻永、県展や茨城洋画界展で活躍した日立市出身の画家・黒澤三郎、水戸市内の益子六郎の支援を受けた画家・堀田清治などの作品をご覧いただきます。
テーマ2 近代の日本画ー山水を描くー
本テーマでは、幕末から明治・大正・昭和にかけて活躍した画家たちの描いた作品を、日本画、特に「山水画」と呼ぶ様式のものを中心に紹介します。
山水画は、自然と人間の融合を説く老子・荘子の思想をもとに中国で生まれた絵画の様式です。険しい山々と水を組み合わせた壮大な風景を、主に墨で描きます。山水画の多くは、現実の風景ではなく、自然の偉大さを強く感じさせる理想の風景を描いたものでした。日本でも、中世に中国から伝わり、現代にいたるまで長く絵画の主題として定着してきました。
水戸にゆかりのある近代画家も、さまざまな山水図を描きました。空間の奥行、季節の表現、人物の仕草などに注目し、山水画の世界観をお楽しみください。